専門家雇用組織（PEO）とは何ですか？
PEOとは“professional employer organization”の略で、専門家雇用組織を意味します。PEOは、特に米国市場では共同雇用主とも呼ばれます。PEOは顧客企業の従業員に対して、給与や諸手当の支払いその他人事上の責任を担います。
通常PEOには、人事・法務・税務・顧客業務・会計に関する広範な経験を持つスタッフがいます。企業はPEOと提携して、福利厚生管理経費の削減、給与支払い管理業務の合理化を行い、独自の法人を設立せずに国際市場への拡大を進めることができます。法に従った国際従業員の雇用、現地法規に従った補償、必要な場合には、法に従った従業員の解雇といった課題に、費用対効果の高い方法で企業が対応できるように導きます。
また、PEOは企業の健康保険・福利厚生経費を抑える点でも役立ちます。PEOとの連携は中小企業にとって、人事管理や社内の人事部門に負担をかけずに、従業員に多大のメリットをもたらす優れた方法です。
専門家雇用組織（PEO）の仕組みは?
最も基本的なレベルでは、PEOは企業の従業員を自社の給与支払い管理下に入れて、彼らの「雇用代行業者」になります。そのような従業員は、業務や責任は通常どおり企業から付与されますが、PEOには彼らの給与や諸手当の支払い管理を行う責任があります。
通常PEOは、特定の企業のために以下の業務を行います。
 | 給与支払い管理 税金の計算、口座振込、定期的な支払い、給与支払い管理に関するその他の問題の処理を行います。 |
|---|---|
 | 福利厚生 医療、歯科、眼科、勤務地固有の諸手当を健康保険会社と調整します。また通勤手当、401k、フレックス支出、PTO、病欠、雇用パッケージに通常含まれるその他の諸手当を授与できます。PEOとの連携によって、従業員の報酬に関する企業の柔軟性が制約されることはありません。 |
 | 人事・法務 PEOは労働法の調査・解釈を行い、企業が地方・州・国の規則を順守できるように担保します。よくあることですが、このような規則が変わった場合に、PEOはその影響を調査し、必要な調整を加えます。 |
 | その他の福利厚生 PEOは多くの場合、短期・長期の障害、労災補償、業績管理、FMLA、退職金その他の従業員の要求を処理できます。 |
どのような企業が専門家雇用組（PEO）を利用すべきか?
どのような企業でもPEOを利用して、人事・財務・法務上の管理業務を委託することができます。ですが、PEOとの提携で最も得るところが多いのは中小企業です。そのような管理業務の負担をPEOに委託すれば、コアビジネスの管理に集中できるからです。また、人事・法務・税務上の要件となると、全ての企業が直接的な専門知識を持ち合わせているわけではありません。そのような業務分野は、専門知識に長けたPEOに簡単に委託できます。
とは言え、大企業やフォーチュン500に名を連ねる企業でも、グローバルPEOを利用している会社は少なくありません。どの国でも、従業員を直接雇用するためのインフラや経費は、その国に法人を持つメリットを上回る場合があります。大企業、中堅企業、さらには中小企業でさえ、国境を越えてPEOと業務提携し、国際的な拡大を目指しています。
国際市場への進出を検討している企業にとって、特に国際的な従業員を初めて雇用する際に、PEOはとりわけ大きな価値があります。複数の国に従業員がいて、企業の給与・人事・福利厚生を管理するグローバルPEOは、企業が国際的なビジネス上の課題に対処できるようにできています。
グローバル専門家雇用組織（PEO）とは？
グローバルPEOは、PEOの全ての機能（給与支払い管理、福利厚生、法令順守）を果たしますが、対象は企業の本国以外に所在する従業員です。
グローバルPEOは、世界への拡大を目指す企業にとって貴重なパートナーですが、とりわけ多様な諸国で従業員の雇用を検討している企業にとってはなおさらそうです。雇用や報酬に関する規則や文化的期待は、国によって著しく異なります。グローバルPEOなら、企業が法律や文化の違いを切り抜けて、新規市場に首尾よく進出できるように手助けができます。
通常グローバルPEOは、特定の企業のために以下の業務を行います。
- 給与支払い管理： 通常のPEOと同様、グローバルPEOは国際的な従業員に期日どおりの支払いを行いますが、タイムゾーンの違い、通貨変動、国際的な銀行業務を考慮に入れて行います。また、現地の税法を解釈して順守し、必要な源泉徴収を行います。
- 福利厚生： 雇用給付金に対する取組は、国によって大きな違いがあります。グローバルPEOは、対象市場における雇用に対する文化的な期待を企業が理解し、地域の法的要件に合致した福利厚生策を施行するための支援を行います。
- 人事・法務： 現地の雇用・給与支払い管理規則を完璧に順守するのは厄介な仕事ですが、国際的拡大を目指す企業にとっては、重要な工程の一部です。グローバルPEOは、海外で事業を行う企業の法令順守を効率的かつ完璧に支援します
- その他のメリット： 国際的に従業員を抱える企業であれば、国際的拡大の途上には予期しない課題が多数待ち受けていることを知っています。グローバルPEOは、既に世界中で進出を果たしたパートナーとして、法律や文化の違いから生じる問題を見極めて解決するお手伝いができます。
国際的拡大を目指す企業がグローバル専門家雇用組織（PEO）を選ぶ理由
グローバルPEOが提携先企業にもたらすメリットは多数あります。国際的拡大を目指す企業なら、それが初めての経験であれ、あるいは新しい国への進出であれ、グローバルPEOとの提携から多くを得ることができます。
グローバル専門家雇用組織（PEO）のメリット
現地規則の順守
国際雇用に関する法律の世界は、複雑で絶えず変化しています。種々の要考慮事項がある中で、とりわけ給与支払い管理、税金、福利厚生に関する現地規則に抵触した場合、企業は監査を受けたり罰金が科されたりします。新しい国に進出する企業にとっては、慎重な調査・監視を行わなければ得られない知見や規範が必要となります。中途半端な法令順守では、罰金が科されるだけでなく、マスコミに叩かれ、社会的な評判や信用が失墜しかねません。
グローバルPEOなら、国際雇用に関する法律に精通しているため、その荷を軽くすることができます。既に世界中の国々に進出して、法的な基盤を築いています。給料ごとに適正な税額を源泉徴収し、従業員が現地規則に則して報酬や福利厚生を受けられるように担保します。
正確な財務予測
財務予測は、種々の要因があるため複雑な作業と言え、特に国際事業ともなればなおさらです。通貨変動や国際的な銀行業務慣行などの要素に起因して、国際的拡大に不慣れな企業が、月々の人件費見積に苦戦するのはよくあることです。
グローバルPEOには、そうした要素をめぐる豊富な経験があり、正確な予算見積の作成を支援できます。Globalization Partnersは、この情報を独自のソフトウェアに取りまとめるため、貴社は必要な従業員のデータを全て、使いやすい1台のプラットフォーム上に維持できます。給与支払い管理をこのように整備すれば、計画や予算を効果的に策定できます。
データのセキュリティ
時折各国は、国際ビジネスに大きな影響を与える規則を施行することがあります。2016年にEUが施行した一般データ保護規則（GDPR）がその好例です。この規則により、個人のデジタルデータに関する重要なプライバシーとセキュリティの権利が確立されました。これによりEUで操業する企業は、顧客や従業員に関するデータを安全に維持し、当人がアクセスでき、安全に転送できるようにする必要があります。
EU域内で操業する企業は、この規則に従うか、さもなければ罰金や処罰が科されます。グローバルPEOなら支援できます。GDPR準拠のプラットフォームを有するグローバルPEOは、この規則の複雑さと諸要件を既に切り抜けてきました。したがって、パートナーにも、従業員データが最高水準のデータセキュリティで保持されているという安心感を持ってもらうことができます。
新規市場への拡大を合理化
国際的な新規市場は拡大への新たなチャンスです。どの市場の企業も、課題とチャンスを天秤にかけて、国際的拡大の費用対効果を比較考量します。
企業が新たな国際ベンチャーのジグソーパズルを組み立てると、グローバルPEOは、いくつかの重要分野で確信を与えることができます。給与支払い管理や福利厚生をグローバルPEOが管理することで、企業は現地法規を順守して国際的な従業員に報酬を支給できます。従業員は満足し、生産的が向上し、貴社は、現地の自治体や地域社会から良い評判を勝ち得る基盤を築けます。
福利厚生の拡充
特に中小企業の場合、従業員に包括的な福利厚生を支給すると、法外な費用がかかりかねません。401(k)プラン、種々の医療その他の給付金は、それなりの従業員数を抱える企業の場合にのみ費用対効果が得られます。とは言え、そのような福利厚生が完備していなければ、最高の人材を引き寄せることは困難です。
グローバルPEOは、従業員が期待する諸手当を中小企業が支給するのに役立ち、採用と従業員の定着率を向上させます。このことは国際的な事業拡大を目指す上で欠かせない場合があります。新規市場の労働者は、企業が自国で支給していない福利厚生をベースラインとして期待する場合があるからです。グローバルPEOなら、そのような福利厚生を費用対効果が上がる方法で支給する助けになれます。
費用効率
自社の人事部門の人材と知見を適正に組み合わせれば、国際市場への進出を首尾よく果たせるかもしれません。しかし、その数は2つですか？それとも、3つ以上ですか？企業の拡大に追随して、人件費は急速に増えるものです。新規市場で給与や諸手当の支払い管理について、的確に調査・管理するには、時間と人が必要です。
多くの企業にとって、この問題に対する費用効率の高い答えがグローバルPEOです。グローバルPEOは、自信を持って国際的な進出を早めるだけでなく、複雑な法令順守上の作業があれば、経験豊富な提携先に委託します。
専門家雇用組織（PEO）に関するよくある質問
1. 代わりに国内請負業者を採用できますか？
技術的には可能です。ですが、独立の業者を国際的に雇用する場合、大きな法令順守リスクを覚悟しなければなりません。国内に認定された合法的事業法人がない請負業者を貴社が雇用し、その事実がその国の政府に知れた場合、多額の罰金が科されかねません。場合によっては、その企業の役員らが刑事罰に問われることがあります。請負業者の罠に関する詳細をご覧ください。
2. 従業員が退社する場合はどうなりますか?
従業員が退職した場合、それはすべて雇用契約書の内容に左右されます。一般的には通知期間の合意があります。
3. 従業員を解雇する必要がある場合はどうなりますか?
従業員の国際解雇は、困難を極める場合があります。規則は国によって大きく異なります。この場合も、雇用契約書の記載事項に左右されます。法に従って、PEOがリスクを減らしながら解雇手続きを行います。これは、米国外で就労する従業員を解雇する必要がある場合に、対処方法の基本として優れています。国際解雇管理の詳細をご覧ください。
Globalization Partnersが行うPEO業務
Globalization Partnersは、海外での事業拡大を目指す企業に総合的ソリューションを提供しています。採用から法令順守、給与支払い管理まで、国際的拡大に伴う課題を克服するための支援を差し伸べます。
国際給与支払い管理業務
給与支払い管理は、新しい国際市場に進出する際に企業が直面する大きな課題の1つです。給与支払い管理に関しては、世界各国で法律が大きく異なります。源泉徴収・年金・福利厚生の規則は世界中で大きく異なるため、国際進出を目指す企業は、自国以外で労働者を雇用する場合、事前に税法や文化を慎重に調査する必要があります。
Globalization Partnersは、既に世界中の国々に進出して、法的な基盤を築いています。国際的な従業員への支払いを始める企業を当社はすぐに援助できます。当社では国際銀行業務の慣行と規則の変更を注視しており、完全な法令順守を担保するため必要な調整を加えています。
またGlobalization Partnersは、世界中で直面する雇用をめぐる文化的規範に、企業が適切に対応するための手助けもいたします。例えば、米国は退職および解雇自由の原則が一般的である諸国の1つです。ほかの諸国では、企業が従業員を解雇できるのは、まれな状況以外の理由による場合のみです。
グローバル福利厚生ソリューション
従業員の福利厚生管理手続きは常に複雑です。まして国際的な労働力ともなれば、単純なはずがありません。米国で雇用主が支給している一般的な医療・歯科・眼科の福利厚生は、民営化されていますが、世界ではその取扱いが大きく異なります。
Globalization Partnersは、現地の法的要件と文化的期待に応える完全な福利厚生と、補足的な福利厚生のいずれかを支給することで、雇用主を支援しています。当社の福利厚生は、一般データ保護規則（GDPR）をはじめとする世界中のデータプライバシー規則に準拠しており、休暇や有給休暇を追跡するための仕組みが組み込まれています。
当社のテクノロジー
給与支払い管理のトランザクションや個人情報の確認は、Globalization Partnersのテクノロジーを駆使したセキュアで直感的なインターフェースを通じて行います。当社独自のソフトウェアで、企業が必要とする、各国に分散したグローバルな従業員の重要情報を取りまとめます。業界をリードする当社のSaaSプラットフォームとアプリは、多種多様なデバイスから利用でき、雇用契約書の作成、支払いの承認、入社プロセス書類の監視、従業員情報の表示を簡単に行えます。
国際的拡大に関する質問
企業の国際的拡大にグローバルPEOがどのように役立つかについて、ほかにも質問がある場合は、当社の専門家チームにお問い合わせください。 グローバル拡大は容易ならざる過程ですが、当社は、貴社が課題を克服するための支援を差し伸べる準備ができています。
