この記事は9分で読めます
G-Pは、業界をリードするGlobal Employment Platform™(グローバル雇用プラットフォーム)を使用して、数か月ではなく数日で高度なスキルを持つグローバルチームを創り上げることで、企業がその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援します。しかし、至る所に存在する労働力をうまく連携させるにはどうすればよいのでしょうか?ここでは、私たちが皆で分かち合えるグローバルな成長と成功に向けたチャンスと課題について説明します。
G-P。Global Made Possible
イタリアと言えば、多くの人が素晴らしい観光地を思い浮かべます。同国には、どの国よりも多い55件のUNESCO世界遺産があります。イタリアには豊かな歴史がありますが、その将来も前途有望です。イタリアの経済は現在も成長を続けており、国際チームの構築を目指す企業にとって人気の展開先となり始めています。当社のイタリアにおける従業員採用ガイドは、イタリアにおける雇用に関する法律および採用慣行について概説しており、自信を持って採用プロセスを進めるための手引きとなります。
イタリアで採用する前に知っておくべきこと
イタリアにおける採用を理解するには、労働市場に加え、労働者の権利と報酬を規定する法律を理解することがポイントとなります。イタリアの労働者の権利は手厚く保護されているため、法令順守を維持するのは並大抵のことではありません。雇用代行業者(EOR)との提携を選ばない限り、法令違反を回避するために法的支援が必要となる可能性が高まります。まず、以下の概要を読んでから取りかかりましょう。
1. 労働市場に関する考察
イタリア最大のセクターには、製造、農業、貿易、サービス、および観光が含まれます。イタリアの製造セクターとして、冶金、エンジニアリング、化学品、および繊維が特に知られています。
イタリアは世界第8位の経済を誇りますが、独自の課題を抱えているのも事実です。イタリアの失業率は2007年~2009年の世界恐慌後に上昇の一途をたどり、2014年にピークに達した後で減少を始めています。現在、失業率は9.1パーセントとなっているため、求職者を引き付けたい国際企業にとってはプラスの兆候となっています。
しかし、イタリアでは必要な技能を備えた労働者の欠如という問題があります。イタリアは、欧州連合(EU)の中で大卒者の割合が2番目に低くなっています。特に、製造セクターの企業は必要なスキルを有する労働者を見つけるのに苦労しています。イタリアで魅力的な応募者が見つからない場合は、学生を含めた熱心な労働者を訓練して、貴社で働くために必要なスキル開発を行うこともできます。
イタリアの労働市場は、自営業または正規雇用でない仕事に就いている労働者の数が圧倒的に多い点が特徴です。イタリアでリモート従業員を採用する場合、こうした市場の柔軟性は有利に働きます。在宅勤務の機会は、イタリアの独立心の強い労働者にとって魅力的に映るかもしれません。
2. 使用言語
イタリアの公用語はイタリア語であり、人口の大半が使用しています。英語を公用語としている企業は、英語がイタリアで2番目に多く話されている言語であることに気づくでしょう。イタリア人のうち、英語を第1言語として話す人の割合はわずか1.31パーセントですが、第2言語として話す人の割合は12.43パーセントとなっています。イタリアの高校生の99.6パーセントは英語を学習しているため、多くのイタリア人はある程度の英語を理解できます。
また、契約書の起草やその他の文書の作成には翻訳家を雇わなくてはならない可能性が高いですが、英語に堪能な応募者を選定した場合は面接やその他のコミュニケーションを図るために通訳を雇う必要はないでしょう。
3. 団体交渉協約と契約
団体交渉協約は、イタリアのさまざまな業界において一般的な存在です。団体交渉協約とは、労働組合と雇用主協会の間で交渉および合意された一連の雇用条件を指します。全国的な団体交渉協約は関連する雇用主協会に所属する企業のみに対して拘束力があるため、団体交渉協約が貴社に適用されるかどうかはすぐに確認できます。
会社がイタリアの雇用主協会に所属していない場合、団体交渉協約に従う必要はありません。ただし、団体交渉協約の条件を雇用契約に反映させることも可能です。
イタリアでは雇用契約が法律上義務付けられていますが、イタリア語で書かれている必要はありません。従業員が契約の内容を理解することがポイントです。イタリアの雇用契約の詳細については、この記事の最後で採用プロセスを扱う際に確認します。
4. 報酬
イタリアでは、全国的または地域的な最低賃金が設定されていません。その代わり、雇用主は団体交渉協約を参考にして最低賃金要件を決定するのが一般的です。イタリア憲法の下、従業員は仕事の量および質の面で適当な給与の支払いを受ける資格があると規定されています。これは、従業員自身ならびに家族がまともな生活を送るために十分な給与でなくてはいけません。これはかなり主観的な判断基準になります。
裁判所が関与する場合、法務専門家は貴社の所属セクターの全国的な団体交渉協約によって設定された最低賃金を参照する可能性が高いため、貴社が団体交渉協約の対象とならない場合でも、業界規範に沿った賃金を提供するのが賢明です。有能な人材を引き付けるには、高い賃金を提供すると効果的です。
イタリアの従業員は、年間を通じて毎月計12回の支払いではなく、13回または14回に分けて給与が支払われることに慣れています。13か月目の給与は12月に支払われ、14か月目の給与は6月に支払われます。従業員の団体交渉協約には、従業員がこうした年次ボーナスの支給を受ける資格があるか規定されています。
5. 週間労働時間と休暇
イタリアの標準的な週間労働時間は40時間ですが、団体交渉協約には異なる基準が設けられている場合があります。最大週間労働時間は48時間であり、これは4ヶ月にわたる期間の平均として算出されます。残業に関する唯一の規定は、年間250時間を超えることができないという点のみになります。残業および残業代に関するその他の取り決めは、団体交渉協約によって結ばれます。
雇用主は、イタリアの12日間の公休日に加え、毎年最低4週間の有給休暇を従業員に提供する必要があります。一部の団体交渉協約には、有給休暇に関してより寛大な取得資格が規定されています。また、イタリアの雇用に関する法律では、特別な状況下であれば従業員が未消化分の年次有給休暇を同僚に譲渡することが認められています。
6. 税金と社会保障
イタリア従業員は、累進税率に従って所得税を支払います。イタリアは源泉徴収制度を採用しているため、雇用主には従業員の給料から適切な金額を源泉徴収することが義務付けられています。
従業員と雇用主は、社会保障費も支払わなくてはいけません。社会保障の拠出額は、会社の種類と従業員のポストによって異なります。雇用主は、従業員の年間総所得の約27~28パーセントに相当する金額を拠出します。現在、従業員の拠出率は9.19パーセント、あるいは給与の9.19パーセントがその総額を超える場合は102,543ユーロとなっています。
イタリアにおける従業員の採用コスト
イタリアまたはその他の国で新規の従業員を採用する場合は、人件費だけでなく、採用プロセスに伴うコストを考慮する必要があります。人件費は業界とポストによって大きく異なりますが、イタリアにおける1時間あたりの人件費は28.80ユーロであり、EU平均を1.10ユーロ上回る金額となっています。国際採用のコストには、以下の項目を含めたさまざまな費用が伴います。
- イタリアにおける会社登記料
- 採用プロセスを通じて法令順守を維持するため、イタリアの弁護士事務所に支払うコンサル料金
- 求人広告の掲載(無料サイトの場合は除く)
- イタリアに人脈のある従業員への紹介ボーナスの支払い
- 人材派遣会社を通じた採用
- 社内の採用委員会への支払い
- イタリアを行き来する際の渡航費(ホテル代、食事代、および交通費を含む)
- 文書の作成または会話の円滑化のために通訳者/翻訳家を雇う
- 候補者スクリーニングにおける身元調査の実施
イタリアで従業員を採用する企業が知っておくべきこと
イタリアで従業員を採用する前に、まず現地で事業法人を設立する必要があります。国際企業の多くは、イタリアにおける子会社の形態としてsocietá a responsabilitá limitata(SrL)を選びます。多くの点において、SrLは有限責任会社に相当します。SrLを設立するには、以下の重要なポイントを押さえておく必要があります。
- 書類: 公証人の前で会社の細則および定款に署名する必要があります。
- 税金: また、会社設立に伴う政府認可税および登録税を支払う必要があります。
- 会社のVAT番号: 貴社は、税務当局からオンラインでVAT番号を要請する必要があります。
- 納税者番号: 会社の役員および株主は、税務当局から納税者番号を取得する必要があります。
- 銀行口座: 正式に法人化が済んだ後は、イタリアの銀行口座を開設する必要があります。
組織構造および所属業界によっては、従業員の採用を開始する前に追加の手順を経る必要があるかもしれません。たとえば、特別な許可証またはライセンスを申請する必要があるかもしれません。イタリアにおける法人設立プロセスには、想像以上に多くの時間と費用が伴います。
イタリアで従業員を採用する前に、イタリアの雇用代行業者との提携を検討してみましょう。このソリューションを利用した場合、上記のあらゆる手順を任せることができるため、会社の設立や法令順守に伴う複雑な手続きを伴うことなく、ただちに従業員の採用を開始できます。また、イタリアの税金、雇用に関する法律、そして団体交渉協約への対応も任せることができます。雇用代行業者と提携した場合、貴社が内定者の採用を担当し、内定者はお客様の従業員として働きますが、給与支払い管理は雇用代行業者が担当します。
貴社は、イタリア従業員に関するあらゆる人事業務をアウトソーシングできるため、現地で事業法人を設立する必要性がなくなります。将来にイタリアで子会社を設立することはできますが、初期の段階で雇用代行業者を利用しておけば、イタリア市場へのグローバル拡大を成功させ、国際チームの有能な人材を確保しやすくなります。
イタリアにおける人材採用の手順
イタリアで従業員を採用する場合、お客様の本社所在国で馴染みのある基本的な手順を経ることになります。ただし、それぞれの手順はイタリアの法律と習慣に基づき、若干異なる可能性があります。それでは、イタリアにおける採用プロセスについて説明します。
1. 求人広告を掲載して求職者にリーチする
求人広告は、英語、イタリア語、または双方を使って掲載できます。イタリアの求職者は、オンラインの主要な求人検索サイトや業界に特有の求人掲示板で求人を探す可能性があります。最近の求職者は、ソーシャルメディアチャンネルを利用する可能性もあります。たとえば、イタリアのLinkedInユーザーの数は2014年から2018年にかけて2倍以上に増加しています。イタリアのインターネット利用率は70.4パーセントのため、ほとんどのイタリア人はオンラインで求人広告を確認する可能性が高いでしょう。
なお、紙媒体の新聞や業界専門誌に求人広告を掲載することもできます。イタリアで人気のもう1つの採用ルートとして、個人的な推薦が挙げられます。すでにイタリアでビジネスにおける人脈が存在する場合は、個人的に応募を促すよう連絡してみましょう。
2. 応募書類に目を通す
応募プロセスにアンケートやスキルベースのテストを組み込み、最高の応募者を絞り込みましょう。また、より広範に応募者を審査したい場合は、履歴書と送り状を提出してもらうこともできます。イタリアの履歴書は、他国よりも北米の履歴書に内容が似ています。たとえば、イタリアの履歴書には応募者のプライベートの趣味などは記入されず、最大で2枚に抑えるのが一般的です。
応募者は、関連のある学歴および職務経験についてリストする必要があります。なお、一定の学位を有する応募者を探している場合でも、希望に沿った応募者が見つからない場合は希望条件を修正する必要があるかもしれません。また、希望する学位課程を提供する大学を通じて採用するか、資格は不足しているが有望な応募者に研修を提供することもできます。
3. 突出した候補者との面接を実施する
人材プールの絞り込みを行った後は、上位候補者との面接をスケジュールしましょう。イタリアでリモート従業員を採用する場合は、テレビ電話による面接の実施を検討しましょう。これによって、チームがイタリアに渡航し、面接の実施場所を確保する必要もなくなります。イタリアでは中央ヨーロッパ標準時を採用しているため、時差を考慮した上でスケジュールを立てましょう。
面接では、友好的な会話に心がけ、応募者にとって機微に触れるような質問は慎重に避けます。イタリアの差別禁止法には、宗教、性的指向、政治的信条、ならびに民族、国籍、門地などに関する保護対象クラスの一覧が存在します。
4. 採用オファーを出して契約書を起草する
最も適格な候補者を選定した後は、ポストをオファーしましょう。この時点で候補者は契約書の見直しを希望するかもしれませんが、法律上は就業開始の30日以内に提供することが義務付けられています。契約書の内容はあらゆる関連法規および団体交渉協約に従うか、より寛大な契約条件を提供する必要があります。契約書では、以下の内容を網羅する必要があります。
- 雇用主と従業員の個人情報
- 勤務地
- 就業開始日
- 有期または無期契約
- 試用期間(該当する場合)
- 職種または肩書き
- 給与
- 有給休暇の日数
- 一般的な就業時間
- 解雇する場合の通知期間の長さ
5. 新規従業員の入社プロセスを行う
雇用代行業者と提携する場合、給与支払い管理や必要な書類への記入など、入社プロセスを任せることができます。雇用主は、労働者を雇用する際に管轄権を有する労働局(DPLMO)に通達しなくてはいけません。
まだ従業員の契約書の見直し作業を行っていない場合は、入社プロセス中に見直し作業を行い、従業員が会社の方針や各自の職務内容について確認しておくべき追加情報を一緒に確認しましょう。また、内定者が新しい仕事で幸先よくスタートを切れるよう、研修も提供する必要があるかもしれません。
Globalization Partnersを通じてイタリアの労働者を雇用する
Globalization Partnersは、イタリアを含む世界187ヶ国に事業法人を構えたグローバル雇用代行業者です。イタリアで従業員を雇用して、現地の労働市場への参入を試しながら、子会社設立は避けたいとお考えの場合、Globalization Partnersはお客様が必要とするソリューションを提供できます。
当社はイタリア従業員の給与支払い管理を担当し、国際人事に伴うあらゆる複雑な業務に対処しながら、関連のある法律と団体交渉協約を順守します。つまり、お客様は法令順守の責任を当社に任せながら、イタリア従業員との強固な雇用関係を結ぶことができます。今すぐ提案要求を行いましょう。