海外支店と海外子会社の設立

海外市場への事業拡大を検討している場合、自問すべき最も重要な質問として、開業したいのは海外支社かそれとも海外子会社かという質問が挙げられます。 その答えは、新規市場で見込んでいるチャンスと、新しい国での規制や文化的課題に対する欲求によって異なります。

一部のビジネス上の課題は、どの国でも同じですが、国によって固有の課題もあります。 以下のような質問に答える必要があります。

  • その国でまず法人を設立する必要があるのか?
  • ビザの要件はどのようなものか?
  • 従業員の就労許可・居住許可はどうなっているか?
  • その国で全ての規則や規制に従って合法的にビジネスを行えるようになるまで、どの程度の期間がかかるか?

これらの質問を検討した後、あなたは自分自身に尋ねることができます:支店または子会社を開設する必要がありますか?

支社と子会社では何が異なるのか?

外国で支社を開設するか子会社を開設するか決める際に、まず決めるべき項目は、主な事業利益は何か支社または子会社の目標は何か、そして課税と法的責任の問題をどのように扱うかです。

以下の入門書をご紹介し、ここでは支社と子会社の違いをごく簡単に説明します。

支店と子会社の違いは何ですか

1. 親組織に直結している

支社は、親会社とほぼ同等の事業を行う目的で親会社が創設しますが、所在地が異なります。 米国の銀行支店がその好例です。 ウェルズファーゴ、BB&T、TD銀行などの有名銀行企業は、全国に支店を展開しており、すべて親会社と同じ事業(この場合は銀行業務)を行っています。

2. 本社に直属する

最終的には、どの支店も本社に対して責任を負い、重要なデータや情報を全て本社に報告します。

3. 通常、本社と共同名義である

支社の口座管理は、個別に行う場合と共同で行う場合がありますが、ほとんどの場合、本店と共同で行います。

4. 親会社の完全な支配下にある

支社の所有権は、常に100%親会社に帰属します。 支社の所在地が米国であろうと、外国であろうと、共同経営または共同所有関係にはありません。

5. 親会社が法的責任を100%負う

何らかの訴訟・告訴に支社が関与する場合、法的責任は親組織にも及ぶことになります。 したがって、支社がその責務を履行できない場合、親会社が罰金、和解の費用、料金を支払う必要があります。 支社には独立の法人格がありません。

6. 赤字になれば閉鎖になる

支社を国外に開設したものの、赤字続きで将来的に利潤を得る可能性が低いと見込まれる場合、親組織は支社を閉鎖できます。

支社の責任者は支社長(支店長)です。 支社長は支社の活動に直接責任を負いますが、本社からの指示を受け、本社に報告します。

通常、子会社は以下のように運営されます。

1. 最終所有者は親会社であるが、独立組織として運営する

子会社とは、別企業(持株会社と呼ばれることが多い)が支配持分の全部または一部を所有する法人を指します。 その場合、親会社が全部または過半数の所有権を有します。

2. 持ち株会社に帰属する

支社とは異なり、子会社は親組織に帰属しません。 親会社ではなく、支配権を握る持株会社に帰属します。

3. ほとんどの場合、親会社と同じ仕事をしない

時折、親会社と全く同じ事業を行う場合もあります。 しかし、それ以外の場合は、親会社とは全く異なる事業に従事します。 例えば、親会社が石油業界に従事し、子会社が小売業や通信業に従事するといった具合です。

4. 子会社は、親会社とは別の口座を管理する

子会社が管理する口座に、親会社は関与しません。 子会社が口座管理の全責任を自ら負います。

5. 親会社が51%~100%の所有権を有する

子会社の所有権は、各国の規制によって異なります。 例えば、サウジアラビアでは、外国企業が100%の所有権を握ることができます。 しかし、他の諸国では、現地法人による所有が義務づけられています。 アルジェリアでは、外国企業が所有する輸入会社について、アルジェリア法人がその所有権の30%以上を持つ必要があります。

6. 親会社は法的責任を負わない

外国にある子会社が何らかの訴訟に関与する場合、法的責任は子会社だけに限定され、親組織には及びません。 子会社は、親組織とは別の法人格を持っています。

7. 赤字になると、別企業に売却されることが多い

お金を失うと閉店する支店とは異なり、子会社が利益を上げられない、または利益のある未来を維持できないように見える場合、通常はその外国の別の会社に売却されます。

支社または子会社を開設するメリットとデメリットは?

支社または子会社を開設するには、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか? 親会社に及ぶ利益と課題が異なります。 前述のとおり、親組織がその運営に期待している内容に応じて、最終的に支社か子会社を選ぶ必要があります。

支社設立のメリット

支店の長所と短所

1. 親会社は高レベルの管理権を維持できる

支社は親会社に帰属し、親会社からあらゆる指示を受けます。このため、親会社は意思決定プロセスにおいて、はるかに大きな役割を果たします。

2. ほとんどの場合、支社は親会社の本社所在国の法律と規則に準拠する

支社が外国に所在する場合、従う必要のある現地の規則や規制が常に存在しますが、これらの影響はそれほど大きくありません。 つまり、親会社はより有効に支社を管理できるということです。

3. 支社の設立コストは低い

親会社が外国支社の開設許可を得ると、支社を開設・運営するのがはるかに容易で安価な方法です。 例えば、地元の持株会社との交渉に支社が時間を費やす必要はなく、多くの場合、諸経費はオフィスの賃貸料とスタッフの給与のみです。

4. 親会社が享受する税制上の優遇措置が大きい

ほとんどの場合、支社が得た収入は、親会社の本国と支社所在国との間で締結された租税条約に基づいて処理されます。 租税条約は二重課税を排除しています。 したがって、支社が外国で納税する必要がある場合、これらの税金は米国にある親会社の税金として計上されます。

5. 企業が事業機会を拡大する上で最も単純な形態

企業が自社ブランドを外国に拡大し、新規市場などを開拓する上で、最も簡単で安全な方法が支社の設立です。

子会社を持つメリット

子会社の長所と短所

1. 親会社から独立している

外国の子会社は独立法人であるため、事業の遂行、提携先の獲得、新規市場の開拓が容易になります。

2. 親会社の信用度が増す

多くの場合、海外のサービスプロバイダーや銀行は、法律・財政上の理由から、子会社との取引を歓迎します。

3. 支社よりも融通性に富む

子会社は、投資家、提携先、従業員、ベンチャー投資家などの第三者に株式を発行・譲渡できるため、融通性が高くなります。 証券取引所への上場も可能なため、公的株式や債券も発行できます。

4. 外国でのビジネスチャンスを見つけやすい

支社の事業は、基本的に親組織と同じですが、子会社は外国で新しい経済的現実を開拓できます。 したがって、小売組織の支社であれば、小売にこだわるのが普通ですが、子会社の場合は、その国の医薬品市場の開拓に関心を示すかもしれません。

5. 外国での費用対効果を活用できる

他国で子会社を開設する親会社は、その国の人件費や製造経費を活用できる場合が少なくありません。

6. 親会社に対する法的保護レベルが高い

子会社には別の法的アイデンティティがあるため、子会社が負債に陥ったり法的問題に遭遇したりしても、責任を負うことのない親会社の株主に対して、より強力な法的保護を提供します。

支社や子会社の開設に伴う問題点は?

外国支社や外国子会社の開設は魅力的なインセンティブに見える一方、課題や問題も伴います。 支社や子会社の開設が比較的に容易な国もあれば、複雑な法的要件や労働法があって、親会社の新規市場参入の願望が大幅に遅れる国もあります。

支社設立のデメリット

支店の長所と短所

1. 親会社による新規ビジネスチャンスの開拓が難しい

支社の活動は概ね親会社の活動によって制限されるため、収益が見込めそうな他分野への進出が困難になります。

2. 支社が債務や法的問題を抱えると、親会社にも法的責任が及ぶ

子会社とは異なり、支社に支払い義務のある債務、罰金、法定和解金に対して、親会社は法的責任を100%負います。 このため、親会社の株主にもリスクが及びます。

3. 支社従業員の求人

外国の労働法によっては、労働者を米国からその国に転勤させて就業させるのが難しい場合があります。 ビザの要件や就労許可の取得が難しい場合が多く、支社では割当てに従った一定数の外国人労働者しか雇用できない場合があります。

子会社設立のデメリット

子会社の長所と短所

1. 設立・開業コストが余計にかかる

前述のとおり、支社の場合、オフィス空間しか必要ありません。 一方、子会社の場合、製造施設を必要とする場合があり、現地の所有権や子会社への課税方法など、より複雑な法的問題に直面する可能性があります。 子会社の設立を検討するに際して、親会社には財務上のデューデリジェンスの実施が重要です。

2. 外国での規制・文化上の課題がある

主に本国にある親会社が支社を管理しているため、支社が同様の問題に直面しても、それほど厄介ではありません。 ただし、子会社は外国でのみ運営されています。 したがって、子会社を設立したい親会社は、その国の文化、政治、規制上の環境を慎重に調査する必要があります。 これは子会社の持ち株比率が数%の場合に、大きな議論の的になります。 外国に居住する持ち株所有者は、その国の仕組みについて親会社の理解を助長できます。

3. 問題が生じた場合にコストが余計にかかる

支社が常に問題を起こす場合、親会社は支社を閉鎖するだけのことです。 子会社が利潤・収益の点で問題を抱える場合、法的・財務的問題はさらに複雑になります。 多くの場合、赤字を計上する子会社は外国の別企業に売却されますが、これは複雑で費用のかかる法的・財務的交渉につながります。

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外国の支社と子会社の一方を選択することは、特にできるだけ早く進出を目指す場合、複雑で難しい問題になります。 企業が外国でのプレゼンスをどのようにするかの決定だけでなく、その国の法律、規則、慣習の調査や理解にも時間がかかります。

より簡単かつ迅速に行う方法があります。

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